2012年12月のブログ記事
極限状態を生き延びるために大切だったものは
アウシュビッツを生き延び、奇跡の生還を遂げた
フランクルという精神科医が書かれた『夜と霧』という本を、
2007年にメルマガでご紹介したことがあります。
作家の五木寛之さんが、『夜と霧』について
書かれている視点に、ハッとさせられたのでご紹介しますね.。.:*・°
お悩みを抱えている方の、心の突破口ともなる内容だと思います☆
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‘‥’ 『愛について』 五木寛之著 * ☆°。☆
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フランクルは、精神的に高い生活をしていた繊細な人間のほうが、
頑強な肉体の持ち主よりも、過酷な収容所生活を耐え抜いたという
意外な事実を述べています。
「世界って、どうしてこう綺麗なんだろう」
フランクルはこのように、夕日に魅せられて、
眺め入るタイプの人が、かえってアウシュビッツを生き抜いたと言います。
中には、夕日が美しかろうが自分には一切関係ないという人たちも
いたのですが、その人たちのほうが、先に倒れていったと報告しています。
これは非常に示唆に富んだエピソードだと思います。
フランクルは後に
「人生の幸福は、どれだけ感動を得たかによって決まる」という
考えを持つに至ります。
人間が極限状態を生き延びるために大切だったものは、
音楽や綺麗な景色など、小さなものへの愛、こだわりだったと
いえるのではないでしょうか。
偉大なる信仰や強い信念というものも、確かにその人間を
支えることでしょう。
しかし、「細部に神が宿る」という言葉のように、小さいものにこそ、
人間を勇気づける大きな力が宿っているかもしれないと思うのです。
それは、歌が好きだとか、おしゃれが好きだとか、冗談が好きで
よく笑うことかもしれません。また逆に涙もろくて、よく泣くといった
こともあるでしょう。
そういう、これまでたいしたことではないと見過ごされてきたものの中に、
人間を生かしていく深い力があるのではないかと、最近しきりに考えるのです。
Roses from Mother’s Service / mikeyskatie
………………………………………………以上………
これは、とても大切な視点ですね。
他人から理解されないことでも、その人にとって、
大きな心の潤い、活力となっていることがあると思います。
私の母は童謡が好きで、好んで聞いているのを
「少女趣味だなぁ…」と、以前の私はよく理解できずに眺めていましたが、
母には幼い頃の郷愁があって、大きな癒しとなっているのでしょう。
音楽や映画、ダンスや観劇、恋やお洒落etc…
日常の中で自分が打ち込めるもの、楽しめるものを
たくさん持っている人は、いつまでも元気でいられます。
美輪明宏さんが、口を酸っぱくして芸術の必要性を説いていらっしゃるのも、
心の栄養源がなくなることの危険をご存知だからなのでしょう。
「人間は無感動になってしまったらおしまいだ。殺される前にくたばってしまう。
人は常に感動していなければいけない」と考えたフランクルは、
同室の外科医に、「少なくとも、1日にひとつ愉快な話を見つけることを
義務としよう」と実験をしたそうです。
それは、数秒、または数分のものだったけれど、
自分を維持させるための”心の武器“になったそうです。
ささやかなものであっても、自分にとって幸せを感じられるものを
一つ一つ拾い集めながら、新たな年も、感動するやわらかな心の感性を
大切にしたいですね:*:・゚。・:*