ミッドライフ・クライシス/中年期は危機の時代
以前の日記でミッドライフ・クライシスについて触れたことがあります。
⇒『女はみんな「うつ」になる』/香山リカ
ミッドライフ・クライシスについて、北西憲二さんがわかりやすく説明してくださっているので、ご紹介しますね.。.:*・°
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中年期は人生の折り返し地点で、変化に富んだ時期でもあり、喪失する時期でもあります。
若さを失い、若いころからの夢も失い、家族のメンバーは自立し、さらに身近な人の死などを経験します。
このような変化と喪失の経験は、私たちに不安や「うつ」を引き起こします。
そのために、中年期は危機の時代と言われるのです。
不安定で危険な状態ですが、今までの既存の価値が変動し、それが行きづまり、新しい生き方をつかむ機会でもあります。
40歳から45歳までが中年への過渡期にあたり、60歳までが中年期となります。
中年への過渡期とはつまり転換期なのです。
中年期以降は、これからの人生が深みを増し、その人固有の生き方が可能になる時期です。
そして60歳から65歳までの老年への過渡期を経て、豊かな老い(サクセスフル・エイジング)へとつながっていくのです。
※『中年期うつと森田療法』参照
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ヒーリングを受けて下さる方も、この年代の方が圧倒的に多くいらっしゃいます。
中年期とは、そういう時期なんだと知っていることが救いになりますね。
大変な思いをしているのは自分だけではないと知ることで、心強い気持ちになります。
私自身もちょうどその年代にさしかかり、子どもは今、高校1年生ですから、順調にいけば、あと2年ほどで大学生になり教育費の山場を迎えます。
息子が3歳の時からシングルマザーで、ずっとお父さん役を担っていますが、目の前にそびえる山を見あげて、ふ~っとため息をもらす日がありました。
けれども、私が心理的な重さから解放された出来事があるんです。
大正12年生まれの、作家の佐藤愛子さんのエッセイを読んでいるときに、佐藤さんが、旦那さんの多額の借金を背負って、死にもの狂いで仕事をしていた時期を「今になれば懐かしく、幸せな時期だった」と振り返る文章を目にした時なんです。
無我夢中で、人生の嵐の時期をかけ抜けた佐藤さんが、すべての借金を返し終わって、それまでの道のりを、幸せな時とおっしゃったことに胸を突かれました。
佐藤愛子さんと私の人生では、大変さの度合いなど比べようもありませんが、「そうか… 私は今、人生で最も充実した幸せな時を過ごしているんだなぁ」と、意識が切り替わったんです。
ですから、私は年配者の方の文章を読むのが大好きです。
自分がその渦中にいるときにはわからない心境を、先取りしてしまえるのはとてもありがたいことだなと思います。
小さな子どもさんを育てているお母さんが、時々キーッとなって強く子どもさんをしかっている姿を目にすることがあります。
私も、息子が幼いころを振りかえると、離婚前のゴタゴタがあって、息子はやんちゃで片時も目を離せず、イタズラしている時が一番目がキラキラしているような子でしたから、「早く大きくな~れ!」とずっと心の中で願っていました^^
でも今振り返れば、あの子どもに手がかかる時期は、確かにいっぱいいっぱいだったけれど、なんとも言えない充実感も感じていた、かけがえのない時間だったなと思います。
もう身体も大きくなって、ごつごつした筋骨質の息子を見ていると、頼もしくなったなぁと感慨深く思いますが、時々、あのちっちゃくてゴムまりみたいに跳ねまわっていた息子を、もう一度抱きしめたい…という思いに駆られることもあります。
きっとそれと同じように、お父さん役の自分のことも、先々になったら、「あの頃は、よくガンバっていたなぁ」と、愛おしい気持ちで振り返るのかもしれませんね.。.:*・°