2017年11月のブログ記事
ストレスは人を成長させ、健康で幸せにする/『スタンフォードのストレスを力に変える教科書』ケリー・マクゴニガル著
今日は、米スタンフォード大学の心理学者 ケリー・マクゴニガルさんのご著書『スタンフォードのストレスを力に変える教科書』から、ストレスのすばらしい活用法をご紹介しますね.:。*.*・°
ケリー・マクゴニガルさんは以前、大学の授業やワークショップなどで「ストレスは有害なものだ」と教えていらっしゃいました。マクゴニガルさん自身も、心理学や医学の様々な研修で、それは疑いようのない事実と教えられてきたからです。
けれども、ストレスについて考え直すきっかけとなった驚くべき研究結果を知って、考え方が変わりました。その内容をご紹介しますね.:。*.*・°
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【ストレスは健康に悪いと思うと死亡リスクが高まる】
私がストレスについて考え直すきっかけとなった驚くべき研究結果をご紹介しましょう。
1998年に、アメリカで3万人の成人を対象に行われた調査で、参加者に対して2つの質問が行われました。
「この1年でどれくらいのストレスを感じましたか」
「ストレスは健康に悪いと思いますか?」
8年後の追跡調査では、3万人の参加者のうち誰が亡くなったのかを、住民情報等によって調査しました。
まずは、悪いニュースからお伝えしましょう。
調査の結果、強度のストレスがある場合には、死亡リスクが43%も高まっていたことがわかりました。
ただし、死亡リスクが高まったのは、強度のストレスを受けていた参加者の中でも「ストレスは健康に悪い」と考えていた人たちだけだったのです。
私はまさにこの点に注目しました。
強度のストレスを受けていた参加者の中でも「ストレスは健康に悪い」と思っていなかった人たちには、死亡リスクの上昇は見られませんでした。
それどころかこのグループは、参加者の中で最も死亡リスクが少なかったのです。ストレスがほとんどない人たちよりも死亡リスクが低かったのですから、驚きです。
研究者たちの結論は「人はストレスだけでは死なない」ということでした。
ストレスを受け、さらに「ストレスは健康に悪い」と考えていると、死亡リスクが高まるのです。
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強いストレスがかかっても、「ストレスが健康に悪い」と考えない人の死亡率は最も低く、ストレスをほとんど感じていない人よりも、さらに死亡率が低かった・・・というのは驚きの結果ですね。
この研究結果を知ってから、ケリー・マクゴニガルさんは過去30年間の科学的研究や、調査の内容を詳しく調べて、それらを裏付ける具体的事例をたくさんご紹介くださっています。
やるべきことが多すぎると感じている人は多いと思います。けれども忙しい人のほうが幸せを感じているそうで、むしろ、ストレスの欠如は人を不幸にするそうです。(退職後 急に暇になると、うつ病を発症するリスクが40%高まるというデータがあります)
働き盛りの年代であれば、ストレスを減らすこと自体が難しいことのほうが多いでしょう。けれども、ストレスに対する認識を変えれば、ストレスの量が減らなくてもかまわないというのは朗報です。
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イリノイ・ベル電話会社で“従業員のストレスによる長期的な影響”を調べる研究が1975年にスタートしました。
6年後の1981年に、電気通信規制緩和法が連邦議会で可決され、業界全体が混乱に陥り、ベル電話会社では全従業員の半分を解雇する事態となりました。
残された従業員も未来への不安を抱え、仕事量も増える一方でプレッシャーに耐えきれず、うつ病になってしまう人もいました。
けれども、ストレスに負けずにがんばった従業員もいました。
彼らには際立った特徴が見られたそうです。その内容とは・・・
【ストレスは日常の一部であり、あらゆる点において快適で安全な暮らしなどあるはずもないし 望みもしない。むしろ、ストレスは成長するためのチャンスだ】と捉えていたのです。
この本は、心が抱える様々な課題のすばらしい処方箋となり得ます。
今まさにストレスを抱えて、にっちもさっちもいかない・・・と感じている方ほど、ご参考になる点が多い本だと思います☆.*・°